2015-01-01から1年間の記事一覧

一歩づつ 近づく毎に顔が滲んでいく輪郭が歪む 網膜が軋む 均一でなくなる手元に置かれたオルゴールうろんな耳に反響するサイレン金切りの音が近づいてる 子供の暗唱もだ此方の祈りが遠ざかる 矛盾と抵抗もだすまし顔に怒鳴り声 淡い微笑みに罵り声相対せざ…

彼女と、俺の間には大きな隔たりがある彼女の体を支えているのは、十字架足りない髄を不均衡に補っているとって付けたような、あらぬ害を、彼女に向けて声高らかに叫んでいる奴等そんな光景を一括りにしたショウケエスの向こう側から顔を歪めて滲み笑う奴等…

混線

明確な立ち位置も定まらないままに、言葉、人と成りうる支柱ばかりが芒失していく。錆、灯りと黒で構成されている。いついかなる時であれ、これが起点だ。あぁ、なんて陰鬱な。他者はあなたを矯正道具であると同時に、自己の鏡写しでもあるのです。目を見て話…

鏡面にも暗闇は映るのに、どうしてか揺らぎは輝きばかりを増していくそれが、擬似的なものであるからに過ぎないのかであるなら、その影と揺らいだ数多の光には、錆という錆が、泥という泥が醸成され、内包されているやもしれぬそれが、本質からしてその様な…

箪笥

開かない箪笥ばかり置いてあるくつくつ、くつくつ、くつくつ、くつくつ女は部屋の隅でせわしなく笑っている先ほどまで、清廉で敬虔な人となりであることの尊さを延々と垂れ流していたラジオは、今は間延びしたノイズ混じりの呻きで空気を濁らし震わせている…

尤も、歴史の系譜もとい意志の血脈は俺と無関係な世界で継承されている夢物語のお伽噺以上の何物でもない銀の弾丸で化物を撃ち砕くこともなければ鐵の長槍で人非人を打ち抜くこともない充足は憤りを無闇に募らせるばかりで痛みは喉元の刃を錆び付かせるだけ…

激しさに恋い焦がれる刹那の煌めきに恋い焦がれる退廃の哀しみに恋い焦がれる事象に求め、人に求め、時に求める陽は翳り、夜も明けたこの夕暮れは幾重もの骨をうずめて出来ている夜と共に衰え潰えた艶蝶だ陽と共に儚く散った徒花だ皆己の懸けたともしびに殉…

ノイズ

安定を求める声は、未だやまない先刻、通りすがりのホワイトカラーが喫煙室で偶然目があった俺に、日常、政治、精神の退廃へのやるせない怒りから来る欺瞞の充溢を主張してきた彼は、自分は詰まるところ孤独を微塵も感じさせない一体感を世界に求め続ける日…

信仰は潤いをもたらすだろうか信仰は輝きをもたらすだろうか信仰は貫きをもたらすだろうか否 信仰は盲従だ 信仰は妄執だ 信仰は蒙昧だそのすべてを、抱擁し持ち得ている人間とは盲従だ人間とは妄執だ人間とは蒙昧だあがないたくもあがなえない抜け出したくと…

私は夢見る。腐蝕された肉で迫ってきた男達。冒され、穢れ、変わってしまった私の體を醜悪と罵った女達。あの時から、私の本質は虫になった。虫。生きるために生きる虫。感情の抑制の効かない虫。行動が一つで構成された虫。地べたを這いずり廻る憐れな虫。…

葉枝、間隙、黄飛沫虚突脳を焼く。何度も、何度も、不緩衝の布切れを、貫く人が近くなって 音が遠くなる顔が見えなくなればいい間に合わないのはわかってる螺旋は棄てて 標は燃やした扉は鍵して 芽は摘んだ咽は潰して 器は割れた杭を打って 坑を埋めたロザリ…

詰まるところ、人というのは、肉やら味噌やら糞やらの塊で、私はそれが生み出すものを愛し、憎み、妬み、狂う雪ぎの煌めきに満ちた夜半、氷糸が1房、私の前に垂れ、暗さと寒さの常闇へと誘った空は一面灰色で、地上から伸びる剥き出しの鉄塔が、隣に立って…

独り言

たまに考えるのずっと前の景色、昨日の景色、明日の景色、もっともっと先の景色きっといつでも同じなんだろうけど私は変わってしまうから、違ってみえるんだろうな、でも私はそのことに気がつかないんだろなってもちろん、私はいま生きてる自分自身を一番大…

やめろ。微笑むな。凡てを赦すには根拠が足りない。願いが気持ちに追い付かない。知識が心に追い付かない。想いの滑車は音も断てずに崩れ落つ。強いられている。これは、個人の裁量を越えた所に在るのだと、囁き零る。

down by the fallen sky

晩秋 鈍煌の街灯 鴉夜盗の番が飛び交う点滅繰り返す赤信号 灯月が蝕む灰白い吐煙 暗寧、静謐とで飽和され脳幹に支障をきたす程の痺れを浸透させる彼方 遠くの虚を掴もうと足を空に浮かせた その時 ふと いつか、だれかとの約束を思いだし少しの逡巡の後 帰路…

「君も僕も同じでは居られないよ体も心も削れて無くなるものだからね」──花は美しさを保てない─否、枯れなければ保てないのだ── 男は心底嬉しそうに供述した彼にとっては、老いこそ潤いであり、悲劇こそ痛快であり、死こそ源であり、灰色こそ至高なのだろう…

夢が私を夢見せた。灯りを灯す夢。私の身近な全てを満たす、儚い幻。

言葉にした途端に、他人に伝えようとした途端に名もない天使たちがそれを見つけてぼくの心を他人と同じものにして上書きして矛盾を無くしてしまうでも変えられてしまった悲しみだけはぼくの心に残って、存在していて具体的な理由を掴むこともできずに摩耗し…

老師

冬空の朱色は橙色の電球に移り、残りを部屋の黴が籠った調具に色づかせ、空間を徐々に暖め始めた針のない蓄音機鍵をなくした戸棚反射しない鏡台絵を奪われた額縁柄のない絨毯爛れた壁紙取っ手のないドア格子を外した窓眼をなくした人形人をなくした青年名を…

暗に指摘している何処かに なにかをわっかのなかにいる俺はそこから抜け出したいあれは、言葉にすれば、伝われば、消えてしまうものの類いだ笑うのが好きだった笑う自分が嫌いだった円滑に物事を運びたいのなら、気に掛けるのは時間の無駄だ自己は主観でしか…

否、淫売とは俺のことだ俺はもう抜けられないあの女がどう思っていようが時間が置いていこうがすべてが止まってしまっている俺が俺でいるために必要な戒律をあの女に見立て 凌辱したのだ悲しみ、妬み、綻びが悼み、孕み、蔑みががんじがらめに窒息させる抗っ…

私は、私の瞳は、もっと強固な世界でなくてはならない他に壊されない為の、自ら壊れない為の共有は破壊だ 啓蒙は破壊だ 慈愛は破壊だ 懐古は破壊だ抱擁は破壊だ 恭順は破壊だ 曖昧な意志、愛、それに連なる凡ては完膚なきまでに知るべきなのだ否、知っている…

簡単だ馬鹿だからよく喋る寂しいから啓蒙する妬ましいから愛撫する嫌いだから忘れる平和について考えることは出来ても、平和には成れないということだ俺は平和を愛している俺は平和でないし、あまつさえ憎んでもいるからだ皆を愛している全員を侮蔑している…

掠れ霞みきった鈍色の容れ物底は抜け落ち、淵は錆び付き、掛けられていた柄杓はとうに朽ちているみなもに映る赤褐色の空が蜃気楼に震えた幻想を、幻想のまま還す、終わりなき倒錯を超越した希望を注いだ容れ物から、光が洩れだし、大気を震わせ、空との境目…

滞って 澱んだ水溜まりは 世界を一色にして 揺らいだ空を 映す汚臭で 噎せそうな 溝色の空

綺麗なものを穢くして 終わらせてしまいました悲しくてでもこれは、とっても、とってもほんとうでぼくは、あまりの嬉しさに涙が、とどまることを、やめてなにもかもを、流し去って最期にはすべてが 渇いて なくなりました

moonlit,alone

あの場所はとても懐かしくて生き苦しいどこもかしこも灯りがともされる、灯りに入れば焼きつくされるここはひどく安寧が約束され尚且つ凍てついた場所独りでいるのは間違いでなくなる気づいたときには砕けて大気のものとなる灯りは決してともさないでくれ悶…

何処でしょうか何処でしょうか何処でしょうか祈ったら見つけられますか見上げたら見つけられますか見下したら見つけられますか区切ったら見つけられますか苦しんだら見つけられますか苦しませたら見つけられますか距離を決めたら見つけられますか範囲を定め…

赦しを乞うた その口で 人を讒し詰る崇め奉った その手で 人を弑し絞める非礼を伏した その足で 人を踏み潰すぼくの凡庸な魂は美しいあなた醜いあなたすべてを充たすためにあるのです

やめてくれこんな侮蔑と嫌悪と既視と偽善と善と必要悪と悪と自己と主観と陶酔と優越と劣等の混ざったのはもうたくさんだ僕は醜いのは知ってるから僕と関係無いところでしてくれ