2015-09-12 ■ 掠れ霞みきった鈍色の容れ物底は抜け落ち、淵は錆び付き、掛けられていた柄杓はとうに朽ちているみなもに映る赤褐色の空が蜃気楼に震えた幻想を、幻想のまま還す、終わりなき倒錯を超越した希望を注いだ容れ物から、光が洩れだし、大気を震わせ、空との境目を無くし、愛で彩られた理想郷が訪れた総てを彼方へと還すため、色を無に帰す白が、空間を瞬く間に喰らい、理り、歪み、抱擁を、在るべき場所へ葬った皆は、笑みを浮かべ、今生の別れを告げた凡ては振り出しに戻り斯くして賽は振られた