彼女と、俺の間には大きな隔たりがある
彼女の体を支えているのは、十字架
足りない髄を不均衡に補っている
とって付けたような、あらぬ害を、彼女に向けて声高らかに叫んでいる奴等
そんな光景を一括りにしたショウケエスの向こう側から顔を歪めて滲み笑う奴等
俺は知ってる 彼女は初めから十字架なんて、救いなんてまるで必要としていない
これは、彼女が祈られ、裏切られ、直され、壊れ、忘れられる迄の細やかな遊戯でしかないということを
俺は──俺はわからない
何処へ行けば誰が救われる?
俺の笑顔、俺の救い、彼女の笑顔、彼女の救い、わからない、しらない、いらない
責められている 誰に? 俺にだ
啓蒙も絞殺も大した違いはないからだ
隔てた溝も ないからだ
こうして苛まれている今でも
彼女は彼女を救ってる 
俺は竦んで震えてる