夢が私を夢見せた。灯りを灯す夢。私の身近な全てを満たす、儚い幻。

言葉にした途端に、他人に伝えようとした途端に名もない天使たちがそれを見つけてぼくの心を他人と同じものにして上書きして矛盾を無くしてしまうでも変えられてしまった悲しみだけはぼくの心に残って、存在していて具体的な理由を掴むこともできずに摩耗し…

老師

冬空の朱色は橙色の電球に移り、残りを部屋の黴が籠った調具に色づかせ、空間を徐々に暖め始めた針のない蓄音機鍵をなくした戸棚反射しない鏡台絵を奪われた額縁柄のない絨毯爛れた壁紙取っ手のないドア格子を外した窓眼をなくした人形人をなくした青年名を…

暗に指摘している何処かに なにかをわっかのなかにいる俺はそこから抜け出したいあれは、言葉にすれば、伝われば、消えてしまうものの類いだ笑うのが好きだった笑う自分が嫌いだった円滑に物事を運びたいのなら、気に掛けるのは時間の無駄だ自己は主観でしか…

否、淫売とは俺のことだ俺はもう抜けられないあの女がどう思っていようが時間が置いていこうがすべてが止まってしまっている俺が俺でいるために必要な戒律をあの女に見立て 凌辱したのだ悲しみ、妬み、綻びが悼み、孕み、蔑みががんじがらめに窒息させる抗っ…

私は、私の瞳は、もっと強固な世界でなくてはならない他に壊されない為の、自ら壊れない為の共有は破壊だ 啓蒙は破壊だ 慈愛は破壊だ 懐古は破壊だ抱擁は破壊だ 恭順は破壊だ 曖昧な意志、愛、それに連なる凡ては完膚なきまでに知るべきなのだ否、知っている…

簡単だ馬鹿だからよく喋る寂しいから啓蒙する妬ましいから愛撫する嫌いだから忘れる平和について考えることは出来ても、平和には成れないということだ俺は平和を愛している俺は平和でないし、あまつさえ憎んでもいるからだ皆を愛している全員を侮蔑している…

掠れ霞みきった鈍色の容れ物底は抜け落ち、淵は錆び付き、掛けられていた柄杓はとうに朽ちているみなもに映る赤褐色の空が蜃気楼に震えた幻想を、幻想のまま還す、終わりなき倒錯を超越した希望を注いだ容れ物から、光が洩れだし、大気を震わせ、空との境目…

滞って 澱んだ水溜まりは 世界を一色にして 揺らいだ空を 映す汚臭で 噎せそうな 溝色の空

綺麗なものを穢くして 終わらせてしまいました悲しくてでもこれは、とっても、とってもほんとうでぼくは、あまりの嬉しさに涙が、とどまることを、やめてなにもかもを、流し去って最期にはすべてが 渇いて なくなりました

moonlit,alone

あの場所はとても懐かしくて生き苦しいどこもかしこも灯りがともされる、灯りに入れば焼きつくされるここはひどく安寧が約束され尚且つ凍てついた場所独りでいるのは間違いでなくなる気づいたときには砕けて大気のものとなる灯りは決してともさないでくれ悶…

何処でしょうか何処でしょうか何処でしょうか祈ったら見つけられますか見上げたら見つけられますか見下したら見つけられますか区切ったら見つけられますか苦しんだら見つけられますか苦しませたら見つけられますか距離を決めたら見つけられますか範囲を定め…

赦しを乞うた その口で 人を讒し詰る崇め奉った その手で 人を弑し絞める非礼を伏した その足で 人を踏み潰すぼくの凡庸な魂は美しいあなた醜いあなたすべてを充たすためにあるのです

やめてくれこんな侮蔑と嫌悪と既視と偽善と善と必要悪と悪と自己と主観と陶酔と優越と劣等の混ざったのはもうたくさんだ僕は醜いのは知ってるから僕と関係無いところでしてくれ

いろいろな間違いをしてしまった結果が存在しているから、原因なんていくらでも混在している「幸せの在り方」を履き違えてしまったのではないかぼくは自身の全霊を注いですべてのものに幸福に当たろうと考えていたぼくの考える優しさでぼくの考える平等で「…

夢を直視したその夜から、物事のすべてにおいての距離感を喪失し、自己は動作と解離し始めた。断じて思春期における精神的な変化とは異なる「それ」は俺を蝕んだのではなく 俺を 削り取った ある意味でこの有り様は安定をもたらした遠く離れていても、急ぐ事…

言葉にならない感受性を保持していたわけではなく型にはまらない、形に収まりきらない人間性を獲得していたわけでもなくただの点、染みが、自身が何であるのか理解することすら放棄していただけのことだった頭の中に羅列してわだかまりを遺すばかりの言葉た…

明日を向いてもすぐ倒れる昨日を指したら崩れ落ちる他所から持ってきた完成を繋ぐことで自己完結を試みる慣れない接触に赤信号、同調せず終わる蛍光灯の一つ一つに意味を見出だす、出口の見えない仕事を夜更けまで続ける一つずつ握り、命の代償を得て割る浅…

そうやって日がな暮らしていくうちに脳幹を曇らせる麻薬のような腐臭がこの淀んだ街から発せられているのか、それともそれとも俺自身のモノなのか境界がなくなっていくきっと、こうしている今にも俺は俺になって 俺は俺で無くなる

もう限界だ 俺の前から誰も彼も消えて無くなれ俺は自主性という鞭で打たれ、怠惰的という態で蔑せられ、義務、義理、犠牲で管理され、格好の的として指導の捌け口にされる。ここは天国を想定して造られた地獄だ。天使は悪魔にしか見えないし、迷える子羊は、…

鬱屈しているし、屈折もしている。言葉や態度、姿勢程心は平淡を望んでいない。目に入る幸せそうにしている奴等は死んで欲しくなる。それは望んでも手に入るものではないから、自ら積極的に行動していく必要性を理解していても、世界がいまいち安定しないの…

少しずつではあるが。色彩は意識から遠退く度に消えていく。叫び声、断末魔、奇声、矯声、呻きばかりが膨らんでいく。もうどうにも成らなくなった者手段が目的に変わった者視界を忘れてしまった者寄る岸辺を亡くした者総てがある種の諦念で同一性を所持する