目が 幾層にも連なった 括られた眼球が
私の皮膚から 幾千にも別れた血管を伝って

厭だ厭だ
こんなものは気持ち悪い
ならば、それと向き合うべきでないのだ
俺を俺たらしめているものが 
彼奴等の静寂の内にしか 在り得ないものならば
芯の臓までが 伽藍の堂であるならば
終始無尽に 巣食われているに違いない

嗚呼、鉄格子の楼閣が いま
鈍色の空虚へと
真っ直ぐに 腕を伸ばして
その、剥き出しになった、骨髄の、
揺らんだ裡から溢れ出で 
煤んで洩れた 誘蛾灯は 青白に
夜と闇の境目を 次第に狭めていく
原初の理を 打ち寄せる波が
なにもなかったかのように 
淀んだ檻の淵底に